数カ月前からずっと観たいと思っていたのに、どのレンタルショップに行っても貸出中で。やっと昨日見つけて借りてきました!
カンヌ映画祭で柳楽くんが主演男優賞を受賞したってことしか知らなかったんですが、数カ月前にスイスのユング研究所にいる知人から「今、スイスで‘誰も知らない’っていう映画が公開されています。日本の子ども達のこと、いろいろと考えさせられます」といったメールが来て、どうも職業柄 観ておいた方が良さそうな作品だということに気付きました。
とある2DKのアパートに引っ越してきた母けい子(YOU)と4人の子供たち。しかし追い出されるのを恐れるけい子は、自分と12歳の長男・明(柳楽優弥)だけの2人暮らしと大家に嘘をついていた。けい子は子供たちにも近所にバレないようにと言い聞かせる。兄妹たちは父親がみな別々で、学校に通ったこともない。けい子がデパートで働き、明が母親代わりとなって家事をし、兄妹の面倒を見ていた。それでも家族5人、それなりに幸せな日々を送っていた。そんなある日、新しい男ができたけい子は、わずかな現金を残して突然家を出ていってしまうのだった…。
一言で言ってしまうと虐待(ネグレクト)のお話なんですけど。映画というよりは、ドキュメンタリーというか、誰かの生活を一歩引いたところでただの傍観者のように観ている…そんな感じがしました。
映画が始まって4分ですでにびっくり。長男・明以外の子ども達はスーツケースの中に閉じ込められてお引越し。で、「暑かったね〜」ってスーツケースから子どもを出してんの。この時点で「なんじゃ、この母親は

明くん以外の子ども達はいないことになっているから、外にも出られない(ベランダも禁止)。大きな音を出すのも禁止。そんなお約束を子ども達は健気に守っている。外の社会を知らないから それが普通だと子ども達は思っているのだろうなぁ…。それに、子ども達は想像以上にたくましい。生きていく術を何故かどこかで身に付けている。
明くんは母親がもう帰って来ないってことを悟りながら、弟妹の面倒を見続ける。コンビニのおねーさんに「警察か、福祉相談所に行った方がいいんじゃないの?」と言われ「そんなことしたら4人で一緒に暮らせなくなる。以前に警察に行った時に大変なことになったんだ」と答える。彼らにとって、何が幸せなんだろう?4人で、電気も水道もガスも止められた家で生活していくことが幸せとは思えない…とオトナの私は考えました。でもきっと、彼らにとって電気や水道やガスが止められたことはたいした問題ではなくて、4人一緒にいることの方が幸せだし重要なことなんですね。例えそれが一般的にはノーマルなことではなくても。
観ていて複雑な気持ちになりました。うまく感想をまとめることができません。児童福祉って何だろう?…そんなことを再び考えてしまいました。答えはでませんが。
児童福祉以外の視点でこの映画を観た方の感想を聞きたいです。
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ついに観ましたか、この映画。
この映画に関して、だれもスッキリとコメントできないと思います。私も……
実際にあった「巣鴨置き去り事件」がベースにあるんですが、そっちの方がもっと悲惨なので、その点ソフィスティケイトされています。が、その分テーマが普遍的になってるように感じました。
現在の日本を炙り出し、これからの日本を予測するような内容だと。
社会経済がますます階層化を強化するような流れなので、この映画のような子供達が特殊でなくなるような気がして、暗澹たる気持ちになりますね。
第三世界化……なってほしくないけど。
お久しぶりです。コメントありがとうございます。
コメントにあった、巣鴨子ども置き去り事件について少し調べてみました。あまり情報はなかったけれど(ふつう、子どもが関係している事件についてはプライバシー保護の観点から情報を流さないようにしているから当然のことなんですけど)、映画よりももっと悲惨ですね。益々 複雑な気持ちになりました。
本当に『誰も知らない』だけで、この映画のような子ども達はもっといるんじゃないかと思います。オトナに成りきっていない、年齢だけオトナの域に達している人が無責任に子どもを産んで育てる。親は虐待を虐待だと認識できていない。日本って、実際 そんな国なんです。
私はこれ以上 不幸な子どもを増やしたくないと思う。でも、その子どもにとっての「幸せ」と私達が考える「幸せ」って一致するんだろうか?
…なんだか私、カオスの中にいます。
ちょっと、遠慮しようかな、と思い始めました。
あ〜…。多分、私の職業柄 想像以上に複雑な気分になってしまっただけです。児童福祉の現場を知らない方の感想もお聞きしたいので、観て、感想を聞かせていただけるとうれしいです。無理強いはしませんが。『星になった少年』の時とはまた違った柳楽くんを楽しもう、くらいのノリで観てやってください。
でも、基本的人権というものの定義は、「安心」「安全」「安定」だと思います。
それらが一つでも欠けた状態は「基本的人権の喪失」もしくは「基本的人権の阻害」だと申してもいいでしょう。
そういう状態・状況に子供達が置かれるとしたら、少なくとも民主主義を標榜するこの国にとって、それは「嘘」になると思います。
子供を大切にしない国に未来はないというのが、私の基本思想ですので。
開発途上国の子供達に関するリポートを読むにつけ、それらの国が何故いまだに途上国なのかが見えてしまいます。
ちょい堅い話しになって申し訳ないです。
でも、この映画は近年稀に見る、観客の心をゆさぶる「いい」邦画でした。
再びコメント ありがとうございます。
考えをまとめるのが難しくて、私のつたない文章では何も伝えられないように思います。すみません。
「何かを考えさせる」という点ではいい映画だったと思います。レビューで「傍観者のような感じがした」と書きましたが、まさに現実世界でも私達は色んなことに傍観者であり続けてしまっているように思います。
>マダム・クニコさん
TBとコメントありがとうございます。
なんてコメントレスすればいいかわからない。ですが、貴重なご意見を聞かせていただけて感謝しています。
見終わった後はショックで
放心状態でした。
最初から「ありえない」と連発してましたが
ストーリーが進むにつれ
もっともっと悲惨な状況に…
つらいです。彼らがどうなったか
気になってしかたありませんでした。
TBとコメントありがとうございます。
信じられないような物語ですが、実際に映画に近い内容が今の日本で起こっているということの方がショックです。
一般的にはあのような境遇にいるお子さんは児童相談所で保護され、児童福祉施設に措置されます。福祉の世界ではノーマライゼーションという言葉がありますが、彼らがノーマルな人生を送れたのかどうか、それは神のみぞ知る、という感じです。
僕とは全然違う視点で観られているので感想が面白かったです。そっか、コレ虐待なんですねぇ。
またお願いします。
コメントありがとうございます。
ネグレクトっていう虐待のお話です。まぁ、虐待してる親の大半は虐待してるっていう自覚がないでしょうけど。
また遊びに行かせていただきます♪
Deannaさんのレビューも拝見しました。本当に子供の姿がたくましく描かれていると思います。そして、子供にとっての幸せが4人一緒にいることなんだという点もなるほどなぁと感じましたね。確かに、家賃滞納とか、電気やガスが止められたことなんて、子供には関係ないことですもんね。
トラックバックしておきますね。
コメント&TBありがとうございます。
一人でも多くの子どもに、ノーマルな世界で生活してほしいと思ってます。