本屋でブラブラしていて目に入ったので買った本、「尋ね人」。
末期ガンの母に頼まれて、消息不明の昔の彼氏を探す娘の話。
谷村志穂さんの著作で、私は彼女の本は「海猫」しか読んだことがないんだけど、函館での生活感が伝わってくる言葉の選び方が心地よいなといつも思う。
自分に残された時間がもうほとんどないってわかった時、私は何を遺したいって思うのかな。何か心残りなことがあるのかな。
私は時々ふらりと一人で旅に出るのが好きで、自分が何者で、どんな仕事をしていて、どんな生活をしているのか、そんな些細なことを誰も気にも留めないような場所に行って、非日常的な時間を送りたいと思っている。
たぶん、次の行き先は函館。
幕末から明治にかけて開拓され、ロシア正教会の流れを組む教会が建っている場所。
海を越えれば本州なのに、その越えられそうにない海を眺めながら、函館に住む人たちはどんなことを思いながら生活をしてるのだろうか。
だいたい私が本を読みたがる時というのは、今の自分の中に渦巻いている感情を言語化したくてもぴったりの言葉が見つからない時で、だから私はいつもとはちがう感情が芽生えていることは理解できているけれど、結局のところ言語化するための言語がみつからず、途方にくれるだけだったりする。