2014年03月05日

教え子

もう10年以上前になりますが、児童福祉施設で働いていた頃、1人の男の子に出会いました。その子は目が大きくてわりとイケメンで、でも無口なので何考えてるかわかんない、職員としてどう対応すればいいのか模索しまくりなタイプの子でした。

ある日、彼(Aくん)は何十kmも離れた場所にある実家まで自転車で帰ると言い出し、自転車に乗って去っていきました。
怒って連れ戻すのは簡単ですが、Aを担当していた臨床心理士自身も自転車に乗ってAの後を追いました。Aはもちろん臨床心理士が付いてきていることに気付いてましたが、ただひたすら実家に向けて自転車を漕ぎ続けました。
実家までの距離が半分くらいになった頃、Aは臨床心理士の方を振り向き、今いるあたりでの思い出話などポツポツと語り始めました。
そうやって話をしながら、彼らは実家に着いたのでした。

おそらく臨床心理士は「Aのことをどんなことがあっても見捨てない大人がいるんだ」と行動で示したのでしょうし、A自身にもそのノンバーバルなメッセージは伝わっていたようです。

Aは中学卒業と同時に自宅に帰り、大工になるための勉強をし、大工になりました。20歳になった時にAは施設に遊びに来てくれて、大工として頑張ってると話をしてくれました。たくましい青年になっていました。
あれからもう7年くらい経過してると思います。
今はまた別の仕事をしているそうですが、前向きに頑張っているようです。
無口だった男の子が、自分の言葉で、きちんと話をしてくれている。当時微力ながらも関わった職員の1人としてこんなに嬉しいことはありません。

児童福祉の真髄とは、その子自身の人生の意味を取り戻す手伝いをすることに他ならないと思っています。その子が、その子なりに人生の意味を見出した時に初めて支援が終わるのです。そしてその支援が正しかったかどうかは、その子が家庭を持った時に初めてわかるものなのです。
なんて気の遠くなる話…
でも、あなたのことを真剣に考えてる人がいるんだよというメッセージを伝え続けていきたい。それが私のライフワーク。
posted by Deanna at 21:31| Comment(0) | TrackBack(0) | Social Work and Psychology | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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