カッコーの巣の上で
刑務所の強制労働から逃れるため精神異常を装ってオレゴン州立精神病院に入ったマクマーフィ(Jack Nicholson)は、そこで行われている管理体制に反発を感じる。彼は絶対権力を誇る婦長ラチェッド(Louise Fletcher)と対立しながら、入院患者たちの中に生きる気力を与えていくが……。
舞台設定が1963年で,製作年が1975年なので,時代背景や偏見を考えながら観ました。物語の大半は,「30年位前の精神病院の実際」みたいな流れなんですが,最後のほうは人間の尊厳とかを漠然と考えてしまいましたねぇ。
だいたい「精神異常を装ってる」(とわかっている)時点で措置入院させられるのもどうかっちゅー話なんですが,「装ってる」からこそ,病院の管理体制への反発という視点があるんでしょうけど。管理体制と人権と,その折り合いについて考えるきっかけになる映画です。
何が正常で,何が異常で,どこからが性格の偏りなのか。狂気なのか正気なのか。そういうことを考えながら観ると,面白い(かもしれない)。
けっこうびっくりしたのが,病院のスタッフで主人公マクマーフィーについてのケースカンファのシーンがありまして,カンファ中にスタッフがポンポン‘crazy’という単語を遣ってたこと。えー,患者の人権守ろうよ…みたいな。担当医師ですら「crazyではないが,何か病気ではあると思う」と言ってましたよ。
で。有名な俳優さんの若かりし頃の姿を見ることが出来ます。私にこの映画を薦めてくれた同僚は,「ジャック・ニコルソンがかっこいい!」とやたらと興奮して言っていました。そんな言われても,生まれる前の映画だし。ジャック・ニコルソンってバットマンに出てて口が裂けてた変な人じゃないと?くらいのイメージだったんですが…(そのイメージも古いけどよ)。
カッコーは,他の鳥の巣に自分の卵を産み落とすんですって。カッコーのヒナは短期間(10〜12日程度)で孵化して、巣の持ち主のヒナより早く生まれることが多く,先に生まれたカッコーのヒナは巣の持ち主の卵を巣の外に放り出してしまい、自分だけを育てさせる・・・って。
カッコーって隠語で「オバカさん」ってことなんですと。精神病院を陰喩してるんですよ,『カッコーの巣』って。
業界用語とゆーか。
日本にもあるじゃん,隠語って。あんまり使いたくはないけどさ。