2006年03月28日

Dead Man Walking(1995,U.S.)

昨日、仕事帰りの車の中でラジオを聞いていたら
地下鉄サリン、松本サリン、坂本堤弁護士一家殺害など13事件で、殺人罪などに問われ、1審で死刑判決を受けたオウム真理教の麻原彰晃こと松本智津夫被告(51)の控訴審で、東京高裁(須田賢裁判長)は27日、松本被告に訴訟能力があると認め、弁護側が期限までに控訴趣意書を提出しなかったことを理由に、公判手続きを打ち切る異例の控訴棄却の決定をした。

というニュースが耳に飛び込んできました。あの忌わしい事件から10年…。
 だから観ました、というわけではないのですが。タイムリーに観たのでレビュー書いてみますね。


Dead Man Walking
ルイジアナ州ニュー・オリンズ。“希望の家”で働くシスター・ヘレン(Susan Sarandon)は死刑囚マシュー(Sean Penn)からの手紙を受け取り、彼と接見する事になった。マシューは相棒と共に若いカップルを殺した罪で州立刑務所に入れられているのだが、相棒が無期懲役なのに自分が死刑になる事に憤りを感じている。ヘレンは特赦を得ようと弁護士の協力を仰ぐが嘆願は却下され、残るは州知事への直訴だけとなった。犯罪者ではあるが、マシューの事を一人の人間として見ようとするために、被害者の両親たちからは敵と見なされ非難を浴びるヘレン。しかし毎日、アドヴァイザーとしてマシューと会い話をしていく内に二人の心は繋がっていく。やがて処刑の日が訪れた。結局、上訴審も受け入れられず、マシューは死にゆく運命にあった……。

 1995年の作品ですから、アカデミー賞の行方がBraveheartかDead Man Walkingかとてつもなく気になっていたような思い出があります。当時、私は高校生でしたが 劇場では観てません。歪んだ形での暴力や歪んだ形での死を映画とはいえ受け入れられなかったからです。
 この年齢に達して ようやく観ることができましたが、やはり内容は重い。被害者と加害者、死刑制度、裁判制度、人権、尊厳… 10年経った今でも答えの出てない問題を真正面から扱っている映画でした。映画の語り口に説得力があるなぁと思っていたら、実際に死刑囚のSpiritual Adviserをしていたシスターの実体験から生まれた作品だとか。そりゃ説得力もありますがな。
 さて。私、大学生の時に『非行少年』についてちょっと勉強したことがありました。犯罪に走ってしまう子ども達の心の動きやその子ども達を取り巻く環境、再犯防止のための取り組みなどなど。
いつも感じていたのは「取り返しがつかなくなる前に、誰かこの子の行き場のない気持ちを受け止めて、そして気持ちを返すことができなかったのだろうか」ということでした。
 被害者側から見ると、「どうしてあんな悪人の見方をするんだ」と怒りを感じるのは当然でしょう。
そもそも、被害者はなぜこんなに怒るのか。予期していなかった出来事で 自分の身近にいた人物が突然いなくなり、予期していなかった喪失体験を経験することになるから…かな?と思います。予期していればある程度 心構えもできるかもしれませんけどね。喪失体験なんてのは、ホントにエネルギーを費やすものなんです。怒りの鉾先を加害者本人に向けることができれば楽なのかもしれませんが、負のエネルギーのやりとりからは何も生まれません。だからたいていの国では『法律』というもので被害者の代わりに裁くようになってるのですね。で、被害者本人に向けられなかった怒りの鉾先は、その代理人とかこの映画でいえばSpiritual Adviserに向けられるわけです。転移してるよなぁ。
そういった被害者の怒り(だけじゃなくて 憎しみや戸惑いも感じているでしょうが)を吸い取ってフィードバックする人間も必要ですよね。
 こうやって書いてみると、被害者も加害者も 言葉にできるのかできないのかはわからないけど 抱えきれない気持ちを持っているのかもしれない、気持ちを受け止めて言葉で包んで返す作業って必要だよな…と思うのです。

 映画とはかけ離れた話をしてしまったようです(泣)。すみません。
 映画の中では マシューがヘレンとの会話の中で自分の犯罪を悔いる発言をするまでに気持ちを整理することができていました。『直面化』と私達は言っておりますが、そこに至までには多大なる時間と労力が必要です。そもそも、普段の生活の中で直面化ができてるような人間は 犯罪を犯さないし、犯す前に自分の行動の影響をきちんと考えることができるものです(多分)。

 複雑きわまりない映画には変わりないのですが、今回は『気持ちの受け止め方とその返し方』をずっと考えて観てみました。

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posted by Deanna at 21:11| Comment(0) | TrackBack(0) | My Favourite Movies(A〜G) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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