認知症の父と、その娘のお話。
アンは80歳になった父親、アンソニーに認知症の兆候が見え始めたのを心配していた。アンソニーにヘルパーを付けようとしたアンだったが、気難しいアンソニーは難癖を付けてはヘルパーを追い出す始末だった。しかし、アンソニーの病状は悪化の一途を辿り、記憶が失われていくだけではなく、自らが置かれた状況すら把握できなくなっていった。困惑するばかりのアンソニーは苛立ちを募らせ、アンに当たることもあった。アンはそんな父親を懸命に支えていたが、気力と体力は消耗するばかりであった。
ストーリーが淡々と進むというか、あれ?これ、もともと舞台で上演してた作品かな?と感じるところがあって、帰宅してあれこれネットで見てたら、「本作はフロリアン・ゼレールが2012年に発表した戯曲『Le Père 父』であり、彼の映画監督デビュー作でもある」ってあったので、やっぱりそうだよね〜と思った次第。
なので、アンソニー・ホプキンスはほぼ出ずっぱりで、舞台のセットが少しずつ変わっていく感じ。
そんでもって、認知症の父のケアをする娘の視点ではなく、認知症の父(アンソニー)の視点で話が進んでいくので、時間軸はめちゃくちゃだし何が本当の話か全然わからない。
だけど気づいた。
何が真実なのかとか、そんなのどうでもいい。
認知症の人は、自分の周りの出来事をそういう風に感じているのだ。
ということを追体験するための映画なんだろう、きっと。
とにもかくにも、アンソニー・ホプキンスと娘役のオリヴィア・コールマンの演技力がないと成り立たない作品。
英国の俳優さんはみんなすごいなぁ。
決して派手ではない話でも、きっちり伝えてくる。
久しぶりに見ました、骨太作品。
またこういう作品に出会いたいな。